みなさん、こんにちは。
ちょっと昔のはなしです。
わたしがこどもだった頃、テレビはまだ白黒テレビで、庭には井戸もありました。
台風が来れば、よく停電していましたし、ろうそくの火で長い夜を過ごしたりもしていました。
あれから40数年が経ち、すべては便利になりました。蛇口をひねれば水が出て、スイッチをつければ夜でも明るいのは、なんだかもう当たり前のことのように思えます。
でも、それは決して当たり前のことではなく、長い時間とたくさんの方の思い、そして汗水流して働いてくださったたくさんの方のおかげで出来上がった、水道や電気、ガスなどのシステム、そしてそれを今日も守るため、わたしたちの見えないところで、黙々とその職責を果たそうとしてくださる人々のおかげで、何気なく、あまりにも何気なくそこにあるのではないかと思うのです。
同じようにわたしたちが、例えば投票という行為ができることも、決して当たり前のことではないと思うのです。
25歳以上の男性が投票できるようになってまだ100年も経っていませんし、女性が投票できるようになってまだ74年しか経っていないのです。
「あなたの大事な1票」とよく言われますが、わたしには、投票という行為は、わたしのためだけにするようには思えないのです。もちろん、ひとりひとりの思いもありますが、と同時に投票は、いま、投票をすることができない人のために、その思いを托されて、わたしが名代として行っているに過ぎないとも思うのです。
いま、投票することができない人たち。
かつてここに生きていた人たち。
投票することが許されなかった人たち。
誰でもが投票できるように、命を懸けた戦った人たち。
そして、子や孫の時代に、少しでもみんなが愉快に生きていけるようにと願って、かつて投票した人たち。
まだ選挙権を持たぬ子どもたち。
これからここに新しく生まれてくるいのちたち。
そんな人たちの代わりに、そんな人たちの思いを受け、たまたま生きて、たまたま18歳以上であるわたしは投票をする、なんだかそんな思いなのです。
どうか、たまたま生きて、たまたま18歳以上であるみなさんが、その尊い行いを大事にしていただけたらと願うばかりです。